地元の横須賀市夏島からは、縄文の犬の骨が発掘されています。犬は今と同じように、人のパートナーとしての役割を果たしていたのですか。

イヌは、動物のなかで最も早くに家畜化が進み、狩猟などのパートナーとして共生が進んだものと考えられています。縄文時代には、人間と同じような埋葬がなされたもの、人間とともに埋葬されたもの、ケガなどの治療痕が骨にあり狩猟などの活動をともにした可能性のある遺体、などがみつかっています。弥生時代になると、中国や半島から「食犬」の習俗とともに弥生犬がもたらされ、以降列島でも長く食犬の時期が続きます。生類憐れみの令の頃を除き、近代に至るまで、日本の各地で犬を食べることが行われていたのです。彼らも人間に翻弄されてきた動物、といえそうです。