邪馬台国への里程の記述に方角がありますが、方角や距離といった概念が生まれたのはいつでしょうか。

方角や距離の概念は、動物でも持っています。ただし、自分の目前にないモノとモノとの距離、その方角を想像するような思考は、人間のみができるものです。これはクロマニヨン人、すなわちホモ・サピエンス・サピエンスの進化に至って、大脳新皮質の爆発的増加によって可能となった、と推測されています。これが抽象的思考を可能にしてゆくわけです。近年の研究では、ネアンデルタール人が気候や地域環境の規制を大きく受けるのに対し、クロマニヨン人は道具や衣服の発明を通じた適応能力を進化させ、より広汎な地域へ移動していったことが明らかにされています。概念としての距離や方角は、その頃からかなり明確になっていたと推測されます。