古墳時代にも再生を強く意識していることがよく分かりました。古代に再生を意識するのは、医療技術がないため寿命が短かったからでしょうか。しかしそうなると、古墳に大量の殉葬者を埋めるのはなぜでしょうか。

日本列島における供犠や殉葬の習俗については、現実に存在したという立場と、伝承のなかだけに書かれていることで現実にはなかった、とする立場が存在します。近年では、多少の「殉葬らしき例」がみつかっていますが、『魏志倭人伝』や『日本書紀』にみるような、百人規模の殉葬を行った痕跡は発見されていません。あまり近代的な見方はどうかと思うのですが、日本列島のように狭隘で各共同体の人口が限定されている場合、多人数を殉葬によって殺してしまうのは、それだけ労働力や兵力を喪失してしまうことになり、現実的ではなかったのだと考えられます。