遺体の周囲に施した朱は、血を象徴していると思うのですが、血にも聖なるイメージがあったのでしょうか。

世界的にみて、血は生命の象徴であり、巨大なエネルギーを秘めたものと考えるのが一般的です。そもそも、辟邪に赤色を用いるのは、血からの発想と考えられます。鳥居や寺社の欄干、地蔵の前掛けなど、すべて同源のものです。しかし、エネルギーの強いものは逆に畏怖をも起こさせ、忌避され遠ざけられるという両義性を持つことになります。ゆえに血も、異なる条件下では穢れの最たるものとして扱われることになります。