〈食唐鬼木簡〉の素材は調べればすぐに分かる気がするが、なぜそのような調査がなされていないのだろうか。

樹種の特定には、意外と面倒なことが多いようです。かつては木目による識別がなされてきましたが、これがかなり不正確であったことは、近年だんだんと分かってきました。新鮮な状態だと識別できる木目も、数百年経った情況では不分明になってしまい、類似の別種と間違ってしまうことが少なくなかったようです。最近では、電子顕微鏡による細胞組織レベルでの検査や、DNAによる識別が行われていますが、いずれも破壊を伴う試料採取が必要ですので、非破壊の方法が種々模索されているところです。下記の論考を参照してください。
http://www.jwrs.org/kenkyu/wa_wp/resources/proceedings20120317.pdf