「辟穀」は道教的修養法とのことですが、穀物を食べたらいけないとなると、何を食べればいいのでしょうか。

そのような意味もあって、山林を修行しつつ、成育している植物や樹木を詳しく調べ、その性質や効能などを明らかにする本草学が発展してゆくのです。その思想的背景はなかなか厄介ですが、農耕を俗事の象徴とみる(すなわち自然環境のあり方を否定し、人間の欲望のままに作りかえる)、いわゆる農耕原罪論的な思想が根底にあるものと思われます。儒教は自然への働きかけ、開発を奨励しますが、道家墨家の思想は、早くからこれに異を唱えていました。道教はそれを受け継いでいるわけです。