考古学が文献史料のない時代をどう考えるかですが、前後の時代との比較、隣接する地域で文献史料の残存しているものがあればそれとの比較、最終的には文化人類学の民族調査に基づく前近代社会・民族社会の発展段階分析に基づきます。とくにいちばん最後のものは、マルクス主義の発展段階論から種々の増補・修正を加えながら、考古遺物・遺跡の解釈、他の資料の比較を行う際の重要な尺度になっています。初期国家段階における王位継承の、諸集団の実力重視・競合→利害の調整・安定化への志向→一家系への権力の集中と血縁原理の導入→世代間継承順序の調整…などといった考え方は、これらの複雑な積み重ねのうえに成り立っています。