医術と呪術がはっきりと分けられるのは、いつ頃なのでしょうか。西洋医学が中国に流入するのを待ってからなのですか。

中国医学の場合、宋代に大きな画期があるとされていますが、もちろん、完全に分離するわけではありません。呪術的な対応は、中国医学のどこかに残り続けてゆきます。また、科学/呪術の区別も相対的であり、西洋医学の側からは、気の流れや経絡などを重視する中国医学は、全面的に呪術色を帯びてしまいます。また、プラシーボ効果の発見などにより、呪術の一面には「科学的効果」のあることが認められていますし、がん患者の増加によってホスピスの需要が高まって以降は、宗教が医学の領域に介入することも再び増えてきました。呪術/科学を明確に区別しようとすること自体が、近代的に偏ったものの見方なのだといえそうです。