桃が中国で辟邪のシンボルになるのは、『論衡』が起源でしょうか。 / 『古事記』黄泉国神話の桃を投げるエピソードに、何らかの関わりがあるのでしょうか。

すでに以前のプリントで史料を掲げておきましたが、『論衡』以前に、戦国時代末期の睡虎地秦簡「日書」甲種や、『礼記』に桃の弓が出てきます。また、『古事記』黄泉国神話は古墳の思想を背景に形成されていると考えられますが、当時の古墳は中国や朝鮮から導入された神仙思想を色濃く反映しています。授業でもお話ししましたが、三角縁神獣鏡などは神仙思想に基づくものですし、前方後円墳の墳形もその可能性がある。ヤマト王権の故地と思われる纏向遺跡からも、大量の桃核が発見されています。黄泉国神話が神仙思想から「桃」を拝借していることは、少なくとも間違いないと考えます。