自然を畏れる道教のあり方は、日本人にも適合しそうですが、なぜ日本であまり定着しなかったのでしょうか。

儒教や仏教と異なり、日本には道教が体系的に輸入されませんでした。というのは、六朝以前の道教が多く民衆反乱の温床となったためです。よって道教経典は、日本へ入ってこなかったのです。しかし、中国道教は医書や仏書とも融合していましたので、断片的知識はそうした漢籍を媒介して伝来し、多少なりとも列島の思想・文化へ影響を与えてゆくことにはなります。近代以降、日本にも道観が立てられたりしてゆきますが、アジア的な文化に排外的傾向を持つようになった現在の列島社会では、なかなか広くは受容されていないようですね。