天然痘の流行を生き残った人は、どのようにしてそれを可能にしたのでしょうか。

天平9年6月には、天然痘に罹患した場合の注意点、とくに高熱によって弱体化し胃腸系の衰弱した情況でどのような養生をしたらよいか、何を食べて、何を食べてはいけないかなどを、事細かに指示した太政官符が発令されています。また同時期、五位以上の官人については、一定の漢方薬を用いた処方も示されました。太政官符は漢方薬を利用したものではありませんが、患者の様態を実地に調査しつつ中国医書を検索した内容のようで、一定の効果を発揮したらしく、その後中世に至るまで諸書に引用され踏襲される処方となっています。