歴史は過去と未来を繋げるものであるという考え方に、大いに共感しました。具体例として医書が挙げられていましたが、他にも当てはまる例はあるでしょうか?

授業でも少し触れましたが、占いの本、卜書などが面白い例だと思います。例えば、10世紀中国の各種資料を内包する敦煌文書には、占い関係の書物も多数残っています。そのなかには、現在のいわゆる人相見、相書と呼ばれる書物もあり、顔の形状や各部の特徴、ほくろの位置などから、顔の持ち主の未来を考えてゆくものです。少し医学と似ていますが、これなども、厖大なデータに基づく統計学的処理の側面があるわけです。王侯になった人々の特徴、肯定になった人々の人相、そういったものが史書を通じて伝承されてゆき、こうした相書の源流をなしてゆく。過去を通して現状を判断し、未来を予見するわけですから、やはり過去と未来を繋ぐ書物ということになるでしょう。