平安時代はケガレに対する忌避感が強いですが、どうして現代の我々にはそれがないのでしょう。

そんなことはありません。このアジアのなかで、日本だけが異常に衛生観念を発達させている現状を考えれば、現在でもケガレ観は充分機能しているといえるでしょう。神社や寺院を聖域化し、清浄な場所と認識する心性は全国的に強固ですし、葬儀の際に清め塩を用いる風習も未だになくなりません(差別に繋がるにもかかわらず)。福島第一原発事故のあとには、福島からの避難民を「放射能に汚染されている」と忌避し差別する風潮が生じ、「現代のケガレ忌避」として報道されたこともありました。