ナショナル・ヒストリーと東アジアに関してですが、EUのフランスとドイツとの共同研究で歴史教科書が作られたと聞きました。日中韓でも同じようなものが作れるでしょうか?

授業でもお話ししたように、その努力は長い期間にわたって続けられています。しかし国民感情の問題、それを煽って相互の対立を演出しようとする政府、一部メディアの意図によって、さまざまに阻害があり、なかなか一般化できないのも事実です。場合によっては、それこそユネスコなど、第三者的国際機関のもとで研究者や一般市民の代表らが意見交換し、互いの主張の溝を埋め、ある程度共有しうる歴史認識の枠組みを構築してゆく会議などを、定期的に設ける必要性があるかもしれません。ま、いまの日本のように、それが報道され知識として社会へ定着してゆかなければ、なかなか先へは進まないのですが。