学問や研究に、必ずしも目的や理由付けは必要ないと思うのですが、歴史を研究する先生はどうお考えですか。

ぼくも理想的には、「そのとおり!」と思います。目的や理由付けは、必ずその時代や社会に束縛されてしまうので、あまりそれを重視して研究をしすぎると、時代や社会の風潮が変わったときに、まったく役に立たないものになってしまいます。しかし、学問として現代的課題に応えることも、ある程度は必要でしょう。要はバランスでしょうが、時代や社会に絡め取られないようその規制をしっかり自覚しつつ、よりよい社会のあり方、よりよい人間の生き方などを、学問をツールとしながら模索してゆくことも大切だと思います。