環境倫理の考えの主体は、主に大人であると思います。子供は大人の考え方に一方的に巻き込まれるだけだと思うのですが、例えば仏教の戒律などの遵守について、子供がそれを受けることはどう考えられているのでしょうか。

仏教では、子供/大人の区別を大きくは行いません。よって、子供も大人と同じように扱われます。現在、一般社会に至るまで不殺生戒を遵守しようとしているのは、一時期「国民総幸福量」で話題になったブータンですが、極めて道徳的・倫理的な子供が育っているようです。いわゆる近代社会において、子供の健康と安全が守られるのは当然ですが、過度な区別には問題点も指摘されています。大人と同じような仕事や義務、権利を与えることによって、社会化が速やかに行われてゆくとの報告もあります。もちろん、身心の成熟度にはかってものごとを考えてゆかなければいけませんが、今後の課題のひとつでしょう。