『詳説日本史B』(2014年)では、あたかも唐の衰退によって日本独自を作る動きが強まったかのように記述されていますが、『詳説日本史研究』(2008年)では、そこが断絶されたわけではないとしっかり書かれています。この相違は、両者の書かれた年代に原因があると思うのですが、どうでしょうか?

『詳説日本史B』の方でも、遣唐使廃止が国風文化を作ったとは書いていません。論旨の順番から、そのような誤解を生みやすくなってしまっているだけです。教科書としては、だんだんと学界の認識に近い内容に変わってきてはいます。ただし、解説本である『詳説日本史研究』のように言葉が尽くされてはいないので、教える側に託された余白が大きくなってしまうとはいえそうです。