高校の歴史の授業では、ほとんどの生徒はテストに出る内容や教科書に載っている内容を重視する傾向が高いと思います。そうなっている原因は、教える側が生徒に歴史の面白さに触れさせる機会を作っていないからでしょう。すべての先生がそうだとは思いませんが、北條先生はいまの高校の教師についてどのような考えをお持ちですか?

初回の授業でもある程度お話ししましたが、現在、中高の教員の置かれている情況は苛酷です。授業のほかに、部活指導を含む煩瑣な校務があり、残業に次ぐ残業、帰宅してからも仕事の続きで、なかなか休む暇もないと思います。そのうえ、主体的に授業の取り組みができるかといえば、学校上層部や教育委員会文科省からの規制が年々に強くなる。情況は勤務校の性格によってずいぶん違うと思いますが、現時点では、理想的な授業運営ができなくとも教員を責めることはできません。上からの名ばかりの「改革」で現場に混乱をもたらすのではなく、ある程度現場に任せ、それぞれの学校で特色ある教育環境が整備できるよう補助するような形で、行政が取り組んでゆくのがベストでしょう。まずは現場の要望を聞き、しっかりと制度へ反映させること。研究者と教員の対話の場を常に作っておくことも重要です。