日本列島の流れとは逆の歴史を辿ったような、自然環境を大切にした国家はあったのでしょうか。

国家というものが誕生してしまうと、その発展のために、自然環境はおしなべて「素材」化され、破壊されがちです。20世紀は開発の時代と呼ばれ、多くの国々が「開発主義」を掲げて大規模な破壊をなし、その結果環境問題が深刻化してきました。逆に、国家化しなかった少数民族、いわゆるファースト・ピープルらの生活領域では、ある程度の共生関係が保たれ、人類の環境利用も自然環境の回復力との間で調和を保ってきたようです。国家のなかであえて探すとすれば、一時期「国民総幸福量」で話題になったブータンでしょうか。厳密に仏教を守ろうとするこの国では、例えば殺生禁断を一定程度実践するために、狩猟漁労その他が厳しく管理されていたりします。もちろん、それにも限界はあるわけですが。