鎖国下において、幕府は北方のみならず、東南アジアやオセアニアなどの情報も入手していたのだろうか?

オセアニア地域は分かりませんが、東南アジアの情報は入っていたものと思われます。長崎にやって来る南蛮船、清国商船を通じて、海外の情報はさまざまにもたらされていました。授業でお話ししたヤオ族の伝承は、清国商船を介してもたらされたのかもしれないと考えています。清国船には、航海の守護神として媽祖という女神が祀られており、長崎へ寄港の際には、出島内の寺院へ仮安置する行列が賑やかになされました。この媽祖に対する豚の供犠と同じような祭祀が、やはり航海の安全を守護するためのものとして、ヤオ族の神話のなかに出てくるのです。東シナ海を繋ぐ交易のネットワークは、神話や伝承を運ぶ役割も果たしていたものと考えられます。