涅槃図ですが、さまざまな動物がその当時どのように認識されていたかによって、釈迦からの距離が異なるのではないかとの疑問を持ちました。

非常に面白い指摘ですが、現存涅槃図ではそのような意味はないようです。あくまで中国の形式を踏襲しつつ、小さなものは中心へ、大きなものは周縁へといった、デザイン的な意味で配置を決めていたようです。ただし、「シャカから召集がかかったとき、鼠に欺されて出席しなかった猫は十二支から外された」との伝承を持つ猫は、涅槃図に描かれていない場合が多いようで、授業でおみせした長命寺の涅槃図でも、隅の方に申し訳程度に描かれているに過ぎません。