帰依が女性から始まるというのは面白いと思いました。一方で仏教では、変成男子など、性を変えなければ悟りを開けないとの考え方もありますが、なぜなのでしょうか。

中国の西南地域では、現在でも、女系の少数民族が多く存在します。江南から南にかけての地域は女性の地位が高かったようで、仏教も道教もその世界観を反映し、六朝期には女性宗教者の活躍が非常に目立ちます。授業の最後で取り扱うつもりですが、梁の宝唱が編纂した『比丘尼伝』には、「女性僧侶は戒律によって男性僧侶の管理下に置かれる」との原則と格闘しつつ、男性僧侶にも負けない活躍をみせ、権力とも積極的に関わっていった比丘尼の姿を認めることができます。日本古代で最初の出家者が女性であったのも、こうした傾向を踏襲したものとみることができるでしょう。