日本の高僧説話だと、往生の際には屍体不壊のほかに紫雲がたなびき芳香が漂うなどの奇瑞がよく出てきますが、同様の描写は大陸のものにあるのでしょうか?

やはりありますね。臨終の際の芳香・紫雲表現は新しいものなので、『梁高僧伝』『唐高僧伝』にはあまりみえず、『宋高僧伝』になって多少出てきます。例えば、同書巻7義解篇/周魏府観音院智佺伝には、「其年十一月十一日に至りて、奄に終る。木塔の挙高三丈余なるを奉る。縱ひ燎せる時、白鶴の哀鳴せること、紫雲の旋覆すること有り。舎利を收拾し、塔を建てて緘す」とあり、火葬時に白鶴が現れて哀しく鳴き、紫雲がたなびき覆ったとの記述が出ています。