仏教における神殺しの物語は、もともとの宗教から反発を受けたりしなかったのでしょうか。

もちろん、批判はあったでしょう。ただし、在来宗教の場合は文字記録として残らないので、伝わっていないのだと思います。しかし、例えば『南詔図伝』に描かれた梵僧への迫害が、在来宗教を信仰していた人々の、仏教に対する批判を表現している可能性もあります。中国でも、仏教への批判が廃仏となって現れています。そうした対立や衝突を経て、最終的な共生状態が醸成されてゆくわけです。