少数民族は、本当に徭役のない、特権的なものだったのでしょうか。

稲作を行っていないので、漢文化の制度で掌握できないところがあるのです。近世の明や清に至る記録のなかには、朝貢に訪れた異民族の有力者に特権を付与し、中華王朝に従属する範囲でなら現在の情況を保証するという命令が出されていたことが、確かに確認されます。ヤオ族については、そのあたりの問題を最近論文にまとめましたので、よろしければ参照してください(「民族表象における記録/記憶/忘却―ヤオ族の神話=歴史観と『評皇券牒』をめぐって―」、『日本文学』2016年5月号)。