帥升も卑弥呼も、なぜ魏に生口を献上したのでしょうか。どのような意味があったのですか。

夷狄や戦争捕虜を従えることは、自国の勢力の大きさを誇示することにほかなりません。帥升の場合も邪馬台国の場合も、自国が列島の戦争状態を鎮めた勢力ある国であることを、魏国に対して示そうとしたのでしょう。また、古代における強権者への供献は、一種の供犠を意味します。供犠とは元来、神霊に自らの最も大切な存在を供献することですが、血族から同一部族の者、部外者の人間、動物などへ次第に代替されてゆくようになりました。生口は、神にも比肩しうる皇帝に対する、人間段階の生け贄でもあったといえるでしょう。