かつては、古代においては神に仕える女性は未婚でなければならない、それが太古の昔からの伝統なのだ、と信じられていました。しかし近年の、とくに義江明子さんらの研究によって、古代に遡るほどそうした処女性は重視されておらず、既婚者や子供もいる女性、夫婦の男女などがともに神に奉仕していることが分かってきました。現在では、家父長制の成立・浸透に伴って政治・社会・経済の表舞台から女性が排除され、男性が女性の性をコントロールしようとする傾向が高まるなかで、処女=清浄との神話が出来上がってくるものと考えられています。男性=文明、女性=自然との、二項対立的枠組みが構築されてくることとも関連しています。