装飾古墳の壁画を描いた顔料は、何を使用していたのでしょうか。
多くは、岩石を砕いて生成した顔料によるものです。顔料には、赤、青、黄、緑、黒、灰、白などがありますが、古墳時代にはすでに漆器もあり、刷毛目を持った土器が出土していることからハケのような道具があったことは確実で、それらを利用して描かれたとみられます。他の質問でも、赤色の意味について問うものが多かったですが、何度も授業でお話ししているとおり、施朱は辟邪の呪術です。施朱に用いる赤色顔料には、主に2つの種類があります。ひとつは酸化鉄系のベンガラ(弁柄)で、いわゆる朱を指します。インドのベンガル地方の原産なのでこう呼称されるようです。もうひとつは硫化水銀系の辰砂、いわゆる丹です。こちらは中国の辰州原産なので、「辰砂」と呼ばれています。