「自然環境の仏教的救済」は、面白いテーマだと思いました。草木の擬人化的発想に乏しい中世では、どうなのだろうと思いました。

中世が草木を擬人化する発想に乏しい、ということはありません。むしろ、古代の方が樹木を樹木として扱い、中世以降の方が擬人化する傾向が高まります。樹木の精と人間との婚姻を語る樹霊婚姻譚は、樹霊が女性の場合は「三十三間堂棟木の由来」、男性の場合は「阿古屋姫」伝承に代表されますが、どちらも中世以降に具体化するものです。