女性の嫉妬や悪行によって、蛇や猿へと変化してしまう。しかし、双方ともに神聖な動物であって、あまり酷い転生ではないように思うが。

以前にも言及したことのある『成実論』では、瞋恚を抑えられなかったものが蛇や蠍になり、落ち着きのなかったものが猿猴に転生すると書いてあります。いずれも、あまりよい位置づけではありません。授業でお話しした蛇や猿が威力のあるものと描かれているのは、それらが仏教伝来以前の信仰を保持しているからです。あくまで神を仏教でどう扱うかから発している物語なので、酷い転生にはなっていないのです。過酷な事例としては、それこそ、貪欲さの抑えられなかったものは便所の虫に転生して汚物を食べる…などといった話も出て来るのです。