倭の五王は、「倭」姓を名乗ることで王朝の安定を目指したとのことですが、実際その頃の政権は安定していたのでしょうか。 / 継続性のあることが尊いとする認識は、一体いつ生まれたのか。

ちょっと誤解があるかもしれないのですが、対外的に「倭」姓を名乗ることが政権の安定に繋がる、という話をしたのではありません。もちろん、権力者はその体制が安定的に持続することを望むはずですし、大局的には政権自体の安定性に関わる問題ですが、上記の件は、直接的には「継承の安定性」に関係することです。すなわち、実力行使によって大王位の獲得がなされる情況では、内紛によって支配層自体が疲弊し、衰退する危険性も高い。また、常に王朝が交替しているような情況では、対外的に「この国は混乱状態にある」とみなされ、安定した外交関係を結んで貰えない。例えば中国王朝側が見返りを期待して何らかの利益供与をしたとしても、その王朝が即座に交替してしまっては投資が無駄になる。それゆえに、「倭」姓を名乗って継続性をアピールすることは、他国との安定的外交を責任をもって遂行する、ゆえに信頼して関係を結んでくださいとの主張でもあるわけです。