国引き神話の八束水臣津野命は、男神でしょうか女神でしょうか?

男ですね。個人的見解ですが、ぼくは八束水臣津野命は、ヤマタノヲロチと同じものだと考えています。両者とも、山地を抜けて平地に肥沃な土砂をもたらす水流を神格化したものです。前者は『出雲国風土記』、後者は『古事記』にしか出てきません。すなわち前者は出雲在来の、後者は王権側のフィルターのかかった伝承なのです(ゆえにスサノヲがヤマノヲロチに勝利する)。恐らく、前者は在来の視点から河川水流の効果を肯定的に物語化したもの、後者は支配の観点からその弊害(洪水被害)などを否定的に物語化したものと考えられます。