末法の始まる時代は、中国と日本では差違があるようですが、なぜですか。

末法の開始期、すなわち仏入滅後からの時間をどのように考えるかに、経論によって複数の説があるのです。代表的なのは三時説と五箇説で、前者は正法・像法・末法、後者は解脱堅固・禅定堅固・読誦多聞堅固・造塔堅固・闘諍堅固となり、その年数の数え方には諸説がある。中国では南北朝の廃仏が末法を想起させ、道教の終末思想などと相俟って、中国仏教オリジナルの洪水終末説などが生まれてきます。日本では奈良末から平安にかけて次第に高まってくるわけですが、これも中国の経論の消化過程と、時代情況との関連のなかで醸成されてくる。年表的に当てはめて考える、というものではないのです。