聖徳太子や大化の改新をめぐる物語は怪しいですが、『日本書紀』の述作した虚構だとしたら、なぜ高校では誰も教えてくれず、国も教科書もこのままにしているのでしょうか。

どこまでが虚構でどこまでが事実なのかについては、まだ議論が続いており定説を見出せていません。ゆえに、教科書に充分反映されていないのです。しかし現在では、『日本書紀』に書かれているとおりの太子像を事実と認めているひとは、歴史学界においてはごく一部でしょう。そうした風潮を受けて、山川の教科書なども、かつて「聖徳太子」としていた記述を、「厩戸王聖徳太子)」と改めています。