以前NHKのドキュメンタリーで白村江の戦いについてやっていましたが、唐の軍船が非常に大きかったのに対し、倭軍のそれは大変に小さく描写されていました。実際はどうだったのでしょうか。

NHKの歴史ドキュメンタリーは、根拠のない映像を流すこともよくありますので、やはり注意が必要ですね。白村江の戦いの際に唐がつぎ込んだ軍船は170艘ほどであったと、『日本書紀』にあります。このあたりの記録は、百済で作成されたものに依拠していますので、実録性の高いものです。一方の倭・百済の水軍は、『旧唐書』列伝/劉仁軌伝によれば、400艘ほど。このあたりのことを根拠にすれば、唐の軍船の方が規模が大きかったと考えることはできるでしょう。『旧唐書』劉仁軌伝自体が、彼の功績を誇大に喧伝している可能性も否定はできませんが、黄河や長江における大軍での水戦の蓄積がある中国軍が、規模の大きな楼船を投入していたことは充分に考えられます。