仏教や儒教に加え、天皇や神の存在は、民衆にどのように受け入れられていたのでしょうか。 / 一般の人々は、どのように天皇=神と知るようになったのでしょうか。

古墳時代においても、祖先の宗教的権威に支えられた地域首長は、一種神的なものと捉えられていたはずので、我々が現在考えるほどの違和感はなかったかもしれません。ただし、それらは「亡くなったものを神と同義にみる」ことが主流だったと思われますので、いま眼の前にある為政者を「現御神」と捉えることは、藤原京建設や条里制敷設などの大事業なしには、達成しえなかったかもしれません。いずれにしろ、地方へ次第に展開してゆくそうした開発の拠点から、徐々に神としての意味づけが進んでいったものでしょう。しかし、末端の民衆に至るどの程度の人がそうした認識を共有していたか(本当に神とみていたか、それとも政治的統治者として捉えていたか)は、不明な点も多くあります。