三世一身法や墾田永年私財法により律令制が崩れたという見解は、学界の通説とはいえないのに、なぜ教科書ではそのように記述されているのでしょうか。
実は教科書では、かなり以前から「この法は、政府の掌握する田地を増加させることにより土地支配の強化をはかる積極的な政策であったが、その一方で貴族・寺院や地方豪族たちの私有地拡大を進めることになった」と記されており、「墾田は、租をおさめるべき輸租田であった」との注記もあるのです(山川日本史B)。しかし授業において、後者を強調した教え方がずっとなされているということでしょうね。