霊亀二年の寺院併合令は、僧侶勢力を抑える目的で実施されたのでしょうか?

いいえ、必ずしもそうではありません。7〜8世紀にかけて、国家の奨励のもとに氏族による寺院造営が盛んになったのですが、ほとんどが国家による補助金を当てにしたもので、実際の信仰は根付かず、放置されたままになっている寺院が多かったのです。藤原武智麻呂は近江守(現滋賀県国司)時代にそうした惨状を目にし、廃寺同様になっている堂塔を合わせ、整備する提案を中央に送ったのです。この段階では未だ、僧侶勢力は政府に圧力をかけられるほどには成長していません。