女帝が古代以降に現れなくなるのは、仏教の普及の影響があるのでしょうか。

否定はできませんが、必ずしもそうした理由によるものではありません。例えば奈良時代孝謙・称徳など、仏教によって性の超越を目指そうとした女帝です。中国唯一の女帝である武則天も、道教を国教としていた唐王朝を中絶させ、仏教を奉じる武周王朝を打ち立てました。女帝ほど、実は仏教の信奉者が多いのです。しかしこの点は、仏教が女性の罪業を強調しそのうえで救済の手段を指し示したためで、いうなればマッチ・ポンプ的な暴力性が存在したことも看過してはなりません。