江戸期民間の人々が信じた物語や伝承の類は、信憑性としてはどの程度あるのでしょうか?

伝承研究という学問の立場からすれば、そこに語られている内容が客観的な事実かどうかは、さほど大きな問題ではありません。どのような形で語られているか、当時、誰によって何がどういう形で信じられていたのか、なぜそう考えられていたのかが重要です。伝承研究は、客観的な事実ではなく主観的な事実、人々の心のなかにある事実を見出そうとするのです。