私たちが現在知っている神様の名前の多くが、近代に作られたことを知って驚いた。私たちは知らない間に国に操られていたのだと感じた。 / 日本には数え切れないくらい神社があると思うのですが。地方の神社もそのようになっているのでしょうか?

まず誤解のないようにいっておきますが、必ずしも「近代に創られた」神名を名乗っていたわけはありません。多くは、国家が国体の聖典とした『古事記』『日本書紀』に登場する、古典的な神名に改められたということです。中世や近世の神々をめぐる信仰の変化を捨象して、無理矢理古代に戻してしまったわけですね。また、『古事記』『日本書紀』に描かれているのはあくまで中央政府、中央宮廷の神話であり、古代においてそれが「一般的」であったわけではない。もっと多様で地域に則した神々が存在したはずなのです。近代の神仏分離廃仏毀釈、神社合祀などは、それらをすべて無視し、国家神道的価値観から神社を作り替えてしまったわけです。ただし、確かに地方の神社でそうした改変を免れた小社もあり、また古代から連綿と持続する神社が存在することも確かです(ただし、祭祀や儀礼が古代から変わらずに維持されているわけではありません)。やはり、目前の事象をしっかりと批判的にみられるかどうかが、重要な鍵になりますね。