現在、文化人類学を受講しているのですが、人間のモラルや考え方などの内容が、こちらの講義ともかぶっています。今日、その関連している学問(社会学、人類学、心理学など)は、アナール学派によって作られてきたのだと知りました。

ちょっと誤解があるかもしれません。上にも書きましたが、アナールは、19世紀末〜20世紀初頭のヨーロッパで繰り広げられた新たな学問の勃興、とくに社会学民族学精神分析学などの活動に大きな影響を受けて誕生しました。その逆ではありません。とくにデュルケーム社会学は根底的なインパクトを与えており、デュルケームの弟子であったフランソワ・シミアンが、当時のフランス実証史学の第一人者であったシャルル・セニョボスを批判した一連の論争が、伝統的国家史を否定し社会史を生み出す契機になったのです。講義で紹介したブロックやフェーヴルは、やはりデュルケームの弟子であった『贈与論』のマルセル・モース、『集合的記憶』のモーリス・アルヴァクスらと共同の研究会を持ち、自らの歴史をみる視座や方法を磨いていったのです。