宗教的権威と世俗権力の一致/分離などは、世界的にみてどうなのでしょうか。分離している国が多いのですか、一致している国が多いのですか?
近代国家は、国民の信教の自由を侵犯しないため、祭政分離が原則とされています。よって現在では、分離している国の方が多いでしょう。しかし一般的には、部族社会の首長なり、王権なりは、時代的に古ければ古いほど、世俗的権力/宗教的権威を併有していたと考えられています。それが次第に時代を経過してくると、神霊を祭祀しその託宣を受ける役割などが、他の宗教的専門家へ分有され、分離してゆく。社会的分業の一局面です。例えば日本列島では、古墳時代においては、地域首長は古墳の被葬者の神的力を得て統治を行う、ヒト=カミであったとみられています。それが古代国家の大王、律令国家の天皇になると、それ自身でカミである現御神を標榜していながら、卜占と祭祀を担う神祇官、中国的卜占や呪術を担う陰陽寮、仏教的呪術を担う寺院・僧侶などが分立してゆく。国家の宗教的な現状は、そうした歴史的経緯の結果としてあるわけです。