社会史は文化人類学に似ていると感じた。社会史が流行した当時は、文化人類学はなかったのかもしれない。しかし、歴史と民族史は違うものなので、分けて考えたほうがよいと思う。
アナールは、当時人類学的な要素を多く持っていた、デュルケーム社会学の影響を受けて生まれました。その後も、社会学や文化人類学とは連携を欠かさず、なかには「歴史人類学」を標榜する人もいます。「歴史と民族史は違う」というのはどういうことか分からないのですが、歴史学と人類学には重なるところが多くあり、前者過去を、後者は現在を扱う、前者は過去に書かれたもの、後者はフィールドワークの経験や収集資料を素材とするなどの相違はあるものの、連携しないと明らかにならないこともたくさんあるのです。そもそも、学問とは対象によって決まってくるもので、制度によって分別できるものではありません。ぼくも、ずっと民俗学者や人類学者と一緒に仕事をしています。