『日本書紀』が中国や朝鮮を念頭に置いた記述を掲載しているなら、『古事記』など他の歴史書はどうなのでしょう。

古事記』には、『書紀』のような中国的装飾は希薄です。文章の形式も主に変体漢文で、ヤマト言葉を一音表記した部分もあります。また、『書紀』は宮廷や氏族の神話伝承を一本化できず、「一書に曰く」を列挙して多くの異伝を示す形式になっていますが、『古事記』はそれをほぼ統一してあります。『書紀』に対して非常に内向きな、いわば内廷的な性格を持っており、また強固な権力の作用したことも分かります。