「聖徳太子」の存在が疑われるようになったのは、最近のことなのでしょうか。

戦前、すでに津田左右吉が、『古事記及び日本書紀の研究』『神代史の研究』『日本上代史研究』『上代日本の社会及思想』などで『日本書紀』の史料性を批判的に検討し、「聖徳太子」の存在に疑義を呈しています。しかし1939年、そうした一連の研究が不敬罪に当たるとして批判を受け、1940年には上記の著作が発禁処分となり、1942年に早稲田大学教授も辞職させられ、やがては出版法に基づき罪に問われるまでに至ったのです。