環境史の研究は、世界ではどのようになっているのでしょうか。

進んでいます。日本研究の歴史のところでも少しお話ししましたが、歴史学の世界的な展開においては、日本はむしろ立ち後れていて、社会史の関係のなかで勃興してきたにすぎません。欧米では環境問題の自覚が、破壊の責任とともに早かったので、環境史の開始も早かったといえます。それに対して日本では、唯物史観の流行のなかで社会経済史が強く、その価値観においては開発が肯定されていた面もあり、90〜00年代に至るまで本格化しなかったのです。