北方の寒冷な地域ほど、自然環境が豊かであるという印象を受けますが、それが事実とすると、それは単に地理的要因からだけでしょうか。

確かに、寒冷な地域ほど人間の活動が限定されますので、人間の自然への圧力は小さいということはあります。しかし、それは熱帯地方も同じで、赤道周辺の熱帯雨林が人間活動を阻み、地球における最も大きな酸素供給地帯になっていることは、よく知られていることでしょう(しかしその熱帯雨林も、さらなる温暖化=感想化と人間活動の拡大により、近年大幅に減少しつつあるわけですが)。北方でも、タイガの森林限界に達するような低温になると、ツンドラ地帯が広がり諸生命の活動は抑えられてゆきます。人間の活動が最も活発化するのは、環境の条件があまり苛酷ではない、温帯を中心とする地域でしょう。それゆえに、温帯地域には都市が拡大し、自然環境が破壊されてゆくことにもなるのです。