日本の自然の回復力について、緯度・経度的に絶妙な位置にあるとのお話がありましたが、九州と同じくらいのシチリア・ギリシャ・レバノンなどは、今でも荒れ地です。いったい何が違ったのでしょうか?

すでに中学の地理、あるいは世界史あたりで、地中海性気候などは勉強していると思います。ぼくの説明の仕方がよくなかったのでしょうが、局所的な気候については、緯度・経度のほかに、周辺の地形やそれに伴う大気の循環など、さまざまな要因が関連してきます。日本列島は温暖湿潤気候に分類され、季節風の影響で季節の特徴が際立った気候状態になりますが、イタリア等と比較して大きく相違するのは、やはり一年を通じて降水量が高いことでしょう。適度な気温と豊富な水、変化に富んだ地形が多様な環境を生み出し、生物多様性を高度に実現していると考えられます。