アイヌの人々を保護するという目的で作られた北海道旧土人保護法は、なぜ差別的とも捉えられる「旧土人」という表現を使ったのでしょうか?

まず、上記の法律がアイヌを「保護」する目的で作られたとは、考えない方がよいでしょう。これは前提の話です。「土人」という言葉は、もともとは漢語で現地の人という意味に過ぎませんが、中央による収奪の対象となった作物を「土毛」というように、やはり中央集権的支配とは切り離せない言葉です。「旧土人」とは、本州の日本人とは異なる土人を、同じ日本人と認めるとの意味で「旧土人」としたのであり、被差別部落の人々を「新平民」と呼んだのと同じ差別的ニュアンスを伴います。